遠い世界に旅に出ようか

音楽の教科書で知っている人がいるかもしれませんが、「遠い世界に」という歌が昔ありました。私が大学時代に在籍したユースホステル同好会のテーマソングでした。最近、自分自身旅に出たいと思うようになりました。旅のノウハウ、特に海外旅行に関して、いまさら聞けないような基本情報から深堀情報まで、自分なりに調べた結果を具体的にまとめて記録・保存したいと思いこのブログを立ち上げました。これをきっかけに旅に出る人が増えたらうれしいです。

ピースボートのクルーズ

ときどき居酒屋などの壁に「世界一周クルーズ、99万円」なんてポスターが貼ってあるのを見たことがある方がいらっしゃるのではないでしょうか?

普通のクルーズ船の費用に比べて半分以下です。

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この世界一周の船旅を企画しているのが、「ピースボート」です。
ピースボートと言うのは船や船会社の名前ではなく、クルーズ旅行を企画しているNGOの名前なのです。

えっ、なんで世界一周クルーズを提供しているのがNGOなの?という疑問がわくかと思います。私もその一人でした。

クルーズ船による世界一周旅行は、あこがれはあるものの、お金持ちの老後の癒し旅行・・・なんて言われたりもします。時間とお金に余裕がないとなかなか参加できませんからね。

しかし、ピースボートが企画する世界一周旅行は、一般の人にも手が届きそうな価格で提供されています。これってもしかしたら何か裏があったり、ヤバいことがあったりするんじゃないの? なんか怪しい~、なんて思われる人も少なからずいるのではないでしょうか?

 

旅行内容を確認する前に、まずピースボートって何なの?という部分から探ってみました。

Wikipediaによると、

ピースボート(Peace Boat)は、国際交流を目的として設立された日本の非政府組織(NGO)、もしくは、その団体が企画していた船舶旅行の名称である。設立当初はアジアをめぐるクルーズの企画を主体としていたが、1990年以降は世界各地を巡る「地球一周の船旅」を繰り返し行っている。

となっています。

そして、設立(1983年)メンバーには、政治家の辻本清美さんが名を連ねています。当時早稲田大学に在籍中で、主要メンバーとして活躍されていたそうです。

ただ現在はピースボートとの関係は無くなっています。

設立当時、教科書問題が話題になっており、その実地検証する目的などで、青少年主体で世界中の市民と交流しながら、世界平和や地球環境問題などのテーマを掲げて船旅を企画実施してきました。たしかに以前はかなり政治的な船旅もあったようです。

ピースボートは、特殊諮問資格をもっているので、国際会議などでも発言できる組織なのです。

さらに、現在共同代表になっている川崎哲さんは、参加している核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)として、2017年度のノーベル平和賞を受賞しています。

 

このような話を聞くと、豪華で優雅なクルーズ船旅行からどんどん遠ざかっていく感じがしますが、そんな生い立ちがありながら、今でもピースボートは多くのクルーズ船旅行を提供し続けています。特に世界一周クルーズ船旅行を年に3回も企画するほどなのです。(飛鳥Ⅱの2023年の世界一周クルーズは1回のみの予定です)

 

ピースボートには、設立背景や政治色が見え隠れすることから、政治的な洗脳が行われるとか、宗教団体だとか、巷ではいろんな噂が流れていることも事実です。

 

結論から申し上げると、私が調べた範囲では、現在のピースボートが企画するクルーズ船旅行には、そのようなことはなく、安心して参加できるツアーだと考えられます。

 

ではなぜ、他のクルーズ船よりも安価な旅行が提供できるのでしょうか? 

一言でいうと、学生などの若い人たちの力を借りているからです。

冒頭にも紹介した世界一周の船旅ポスター。これも旅行に参加したい若者がアルバイトとして貼っているのです。3枚貼れば千円がもらえます。しかし、ただ貼るのではなく、店などに内容を説明し、承諾してもらわなければなりません。そう考えると、そんなに簡単なアルバイトではないのかもしれません。

その他にもスタッフとしての仕事を手伝ったりすることもあるようです。

外国語が堪能な若者は、通訳として活躍することもあります。

そして、彼らがクルーズ船で旅行する際の部屋は、ホステルのような相部屋なのです。

(写真を見ると、昔のユースホステルよりはずっときれいな部屋のようです)

 

ピースボートが提供する船旅の特徴は、若者が多く参加しているところです。

一般のクルーズ、特に世界一周ともなると、ほとんど年配の乗客が占めます。しかしピースボートでは、二つの世代が同じ船で旅行を楽しむ光景が見られます。

 

デメリットもあります。

ピースボートの船には、プロのクルーもたくさん乗船していますが、しろうとの若者がその中にスタッフとして入ったりすると、やはりプロのサービスにはかないません。

特に飛鳥Ⅱを筆頭とする日本の3隻のクルーズ船の一流のサービスと比較すると、かなわないのはしかたありません。

ポイントはそこを許容できるかどうかです。

 

こちらは、ピースボートの2023年4月に出発予定の北極航路 ヨーロッパ&中米コース108日間の旅行代金です。

(二人で申し込んだ場合の一人分の旅行代金)

最高級のバルコニースイートが約700万円です。

ジュニアスイートで、560万円。

日本の高級クルーズ船だったら、ワンルームの安い部屋の金額です。

個人的には、この金額でもまだ手が届きません。

 

スイートでなければ、このような金額になります。

なんとなく、手の届く領域に近づいてきた気がします。

これなら頑張れば・・・という気になります。

ちなみにアウトサイドというのは、窓はありますが、バルコニーがないタイプです。

エコノミーとバジェットは船の内側の部屋で、窓がありません。

 

使用される船は、以前にも紹介しましたが、パシフィックワールド号をチャーターしています。

サン・プリンセスと呼ばれていたころから、日本発着のクルーズに使用されていました。

2019年にはJTBが主催した98日間の世界一周旅行にも使用されました。

飛鳥Ⅱを上回る7万7千トンの大きな船です。

ピースボートクルーズ公式サイト

 

そして、2027年には、「エコシップ」を使った世界一周クルーズが始まるそうです。


エコシップ?

簡単にいうと、エコカーの船版です。

さまざまな省エネ技術を採用して、環境に配慮した船ということです。

こちらが、2027年からピースボートで使用されるエコシップです。(当初の導入予定からは遅れたようです)

なんか未来的でかっこいいですね。

部屋はこんな感じになるそうです。

上の二つは豪華すぎます。

相部屋はちょっと無理なので、このくらいがいいかなと、勝手に想像したりしています。


まとめますと、ピースボートは一般のクルーズ会社とは異なる生い立ちがあり、いろんな噂も流れていますが、現在は、安くてリーズナブルな世界一周クルーズ船旅行を提供してくれています。

飛鳥Ⅱなどのような超一流サービスは期待せず、一定のレベルで許容できる場合は、検討の候補にいれていいかと思います。