遠い世界に旅に出ようか

音楽の教科書で知っている人がいるかもしれませんが、「遠い世界に」という歌が昔ありました。私が大学時代に在籍したユースホステル同好会のテーマソングでした。最近、自分自身旅に出たいと思うようになりました。旅のノウハウ、特に海外旅行に関して、いまさら聞けないような基本情報から深堀情報まで、自分なりに調べた結果を具体的にまとめて記録・保存したいと思いこのブログを立ち上げました。これをきっかけに旅に出る人が増えたらうれしいです。

保険は必要か? 保険のしくみと海外旅行保険

海外旅行をした人は、たいてい旅行保険のことを気にした経験があると思います。

空港に行くと、海外旅行保険の自動販売機があったりします。今は、ネットで見積したり予約・契約することもできます。

海外で事故や病気になったとき、日本の健康保険は適用外ですので、自分で全額費用を払う必要があります。海外での医療費は、想像以上に高額になるので、あらかじめ覚悟しておかなければなりません。

 

※参考

日本の公的医療保険には、「海外療養費制度」というしくみがあります。海外で傷害疾病などで医療費が発生した場合、公的医療保険で認められている範囲の医療費については、請求することで自己負担分(3割)以外は給付されるしくみです。

基準は国内での医療費なので、同じ医療行為を日本で行った場合の費用で算出されます。例えば、アメリカで虫垂炎になり300万円の治療費がかかったら、まずその金額を現地で自腹で支払います。そして、その証明書を現地医療機関から受け取っておきます。それを持ち帰って、日本での虫垂炎の治療費相当額(例えば50万円)の3割の15万円が自己負担分になり、残りの約35万円が払い戻されます。

しかし、この制度を利用するには、現地で「海外診療内容明細書」や「領収明細書」をもらわなければなりません。しかも日本語の書類も必要です。外国の医師に書いてもらうことになり、これはけっこう手間です。

国民健康保険の方はお住いの市町村に申請書があります。企業で健康保険に入っている方は、会社の健康保険組合に申請書があるはずです。

私は海外で歯の治療をして、20万円くらいかかったのですが、必死に書類を用意して日本に提出して、結局2~3万円しか戻ってこなかった記憶があります。そのときはがっかりしました。

このように「海外療養費制度」は、多少の足しにはなるのですが、努力のわりに得られるものが少ないのが実情です。海外でどうしても保険が必要な人は、やはり別途海外旅行保険に加入するのがいいかと思います。

 

今回は、少し「保険」の基本ルールを確認して、海外旅行保険につなげていきたいと思います。

 

保険は補償金額とその確率⇒「期待値」によって、保険料が設定されています。保険会社は損をしないように、ある程度利益を出す料率を設定します。

保険は、ほとんど起きない(確率の低い)事象に対して、もし実際に起きた時の金額が非常に高額になり、支払いが困難になるような場合に、多くの人からお金を集めて、その事象に備えるものです。

 

具体的に自動車保険で例えてみると、対人賠償・対物賠償などがそれに当てはまります。もしも起きたら数千万円から億円の単位で支払いが発生する可能性があるからです。そうなると普通の人は家計が破綻して、日常の生活が維持できない状況に陥ります。ただそういう事象に遭遇する確率は非常に低いと言えます。そのため、高額な保険金に対して、あまり高くない保険料が設定できます。それは確率が低いからです。

 

日本では、交通事故で亡くなる方の人数は、年間約1万人です。
クルマの利用人口(約5千万人)から換算すると、普段運転しているドライバーが死亡事故を起こす確率は、1年で0.02%です。

仮に死亡事故の賠償金が5千万円だったとすると、全ドライバーで平均すると1万円になります。(5,000万円×0.02%=1万円)保険会社はこの1万円に経費や利益を乗せて保険料を算出しているのです。

個人から見ると、1万円を捨てるか、5千万円をもらうかの大差のある2種類の結果になりますが、保険会社からすると、できるだけ大勢の人がこの保険に加入してもらえば、計算通り(期待値通り)になるため、商売が成り立つのです。人数が少なければこの設定はギャンブルのように不確定ですが、機会が多くなればなるほど、期待値とのずれがなくなっていきます。これを「大数の法則」と言います。

 

保険の必要性は、小さな確率で起きる大きな損害のリスクを多くの人が加入して補償することで成り立ちます。言い換えれば、確率がそれほど小さくなく、損害額があまり高額にならない場合は、保険の必要性が低下します。

 

後者の例は、車両保険になります。事故を起こして自分の車が損害を被った時に支払われる保険です。車両保険の補償額はわりと低いのですが、起きる確率が高いため、保険料が高額になります。保険の必要性からいうと、あまりかける必要のない保険ということになります。

私は車を所持していますが、車両保険には加入していません。補償額が支払い可能範囲内だからです。起きても何とか支払えるのなら、保険会社に利益を渡す必要はないと考えています。平均化すると、個人が保険で儲けることはできないのです。

一方、対人賠償はあまりに高額なため、保険に入っています。本来、こういう場合にこそ保険を有効に活用したいものです。

 

※一般の保険は、保険会社が損をしないように設定されています。しかし、健康保険などは逆で、補助が入っていますので、被保険者に有利に設定されています。

 

では、海外旅行保険はどうでしょうか?

一般の海外旅行保険は、民間の保険会社が行っています。そのため、期待値に対して、経費・利益は加算されています。

前述の保険の必要性から考えると、発生確率と、その費用を家計に破滅的な大きな影響を与えずに払える金額かどうかが着目点になります。

最も想定しなければならないのは、障害・疾病治療です。一方盗難紛失は、海外旅行に行ける人なら、自分で買いなおせるくらいの財力はあるのではないでしょうか、そもそもあまりに高額なものを海外旅行に持参することは少ないと思います。

海外で事故に遭ったり病気になったとき、日本の健康保険は適用外ですので、自分で全額費用を払う必要があります。

では、いったいいくらくらい必要になるのでしょうか?

虫垂炎(盲腸炎)の手術+1~2日の入院をした場合、最も高い国の一つであるアメリカ合衆国で約300万円かかると言われています。これを基準に考えるのがいいかと思います。

虫垂炎レベル(30分の手術と1~2日の入院)の疾病や怪我が起きる可能性と、もしもそうなった場合に300万円を自分で払う能力があるかどうかが分かれ道です。300万円いざとなったら払えるという人は、保険に入る必要はないと思います。それが無理な人は、保険に入るべきです。

そこで、ふだん他の目的で使っているクレジットカードに海外旅行保険が付帯しているとしたら・・・支払い能力がある人でも、これはラッキーです。使わない手はないです。そこそこお金がある人にとっても、やはり300万円は大きいです。クレジットカードでこれが補償されるなら、ほんとうにお得です。

 

次回は、クレジットカード付帯の海外旅行保険に関して、掘り下げてみたいと思います。