日本のクルーズ船+世界最大のクルーズ船
今回は日本のクルーズ船の紹介と、比較の意味で参考に世界最大のクルーズ船も紹介します。
※世界一周クルーズが可能なレベルの大型客船は、日本に3隻あります。
★飛鳥Ⅱ
まずは、日本が誇る高級クルーズ船【飛鳥(あすか)Ⅱ】です。日本籍では最大の客船です。
日本郵船の関係会社、郵船クルーズが所有・運航している外航クルーズ客船です。乗客定員(872名)と乗組員(約470名)総トン数は5万トンを超えています。日本で初めて建造された電気推進のクルーズ船です。
「5万トン」「1000人」という数字を覚えておくと、これを基準にして、大きい小さい・・・等の基準になるかと思います。
ちなみに映画でも有名な「タイタニック号」は4万6千トンでした。飛鳥Ⅱとだいたい同じですね。
初代、飛鳥は、2006年にドイツの会社に売却されバハマ船籍となり、改名してバルト海を中心に就航しています。
2代目の飛鳥Ⅱは1990年、日本郵船の関連会社のクルーズ客船「クリスタル・ハーモニー」として三菱重工業長崎造船所で竣工されました。その後、初代飛鳥の後継として増える需要に対応するために、2006年に郵船クルーズがこの船を買い取り日本市場向けの改装を施し、3月に正式デビューしました。すべての客室が窓側に配置されており、日本人向けの高級クルーズ船としてカスタマイズされました。
日本最高の名にふさわしく、設備もサービスも超一流です。
非常に人気のある船で、企画されたツアーはすぐに満席になるほどです。
飛鳥Ⅱを利用した世界一周クルーズは、別途詳しく紹介しようと思っています。
★にっぽん丸
次に【にっぽん丸】です。現役のにっぽん丸は3代目になります。
初代は、1958年竣工で、総トン数約1万トン、定員431人でした。
飛鳥Ⅱの5万トンに比べるとかなり小ぶりです。
1976年に老朽化に伴い2代目にっぽん丸と入れ替わり、1977年に解体されました。
2代目は、1962年にブラジルの客船として竣工しました。1975年に三井造船玉野造船所で改装され、パナマ船籍のまま商船三井客船が定期用船する形で「セブンシーズ」として運航しました。その後1977年に2代目「にっぽん丸」となりました。
大きさは初代とほぼ同じです。
そして、1990年に3代目にっぽん丸と入れ替わりました。引退後はインドネシアに売船された後、1998年にインドで解体されました。
3代目(現行)は、2代目にっぽん丸に代わる客船として、1990年に三菱重工業神戸造船所で建造されました。商船三井が運航するクルーズ船です。
竣工は1990年9月です。総トン数は約2万トンと初代・2代目よりはかなり大きくなったものの、飛鳥Ⅱの半分以下です。
旅客定員は203室・最大532名(2020年大改装後) 乗組員は160名となっています。
飛鳥Ⅱに比べて、小柄ですが、そこを生かして、きめ細かいサービスと料理のおいしさで人気があり、「美食の船」とも言われています。
小さいとは言っても、このサイズは、クルーズ船としては十分で、逆に寄港地の選択肢が増えるという利点があります。船が大きくなればなるほど、接岸できる港が限られてきます。もちろん沖どめしてテンダーボートなどを使えば、上陸はできるのですが、やはり面倒です。
★ぱしふぃっくびいなす
ぱしふぃっくびいなす (Pacific Venus) は、日本クルーズ客船(新日本海フェリーの子会社)が運航するクルーズ客船です。
総トン数は26,518トン、定員は720名、乗組員は204名となっています。
にっぽん丸より少しだけ大きいです。飛鳥Ⅱの半分くらいです。
前述の2船と同様、食事に関しては満足度が高く、水上の高級レストランと言ってもいいくらいです。
さらに、この船の特徴は、クルーのノリの良さです。日本人クルー・外国籍クルーみんな明るくてフレンドリーです。
長い航海でしょっちゅう顔を合わせるクルーたちの笑顔が素敵だったら、クルーズでの生活もさぞかし楽しくなると思います。
日本の大型クルーズ船は、以上3隻になります。
★ピースボート
ピースボートは船の名前ではなく団体名です。
これは、クルーズ旅行を企画している日本のNGOの名前になります。
企画運営のみを行なっており、船はチャーターです。
ピースボートの企画するクルーズを主催する旅行社として、株式会社ジャパングレイスがあります。ここは現在、ピースボートのクルーズのみ扱っています。
今は、外国籍の「パシフィックワールド号」をチャーターして運航しています。
この船は旧サン・プリンセス号のことで、2013年から日本のクルーズに利用されるようになり、2019年にはJTBが主催した98日間の世界一周旅行にも使用された大型クルーズ船です。
総トン数は、日本最大の飛鳥Ⅱを上回る7万7千トンもあります。
竣工当時は世界一だったそうです。
定員も約2千名となっており、かなり大きいです。
この船をチャーターして、安い価格で世界一周クルーズを提供しているのがピースボートです。
ピースボートに関しては、特殊な成り立ちと運営を行っているため、いろんな噂もまことしやかに語られているほどです。
ピースボートの詳細に関しては、別に取り上げようかと考えています。
※参考
★世界最大のクルーズ船
【オアシス・オブ・ザ・シーズ (Oasis of the Seas)】
アメリカのロイヤル・カリビアン・インターナショナルが運航するクルーズ客船です。2009年に就航しました。
総トン数は22万5千トン、なんと飛鳥Ⅱの4倍以上です。
定員も最大6,300名と桁外れです。
植物が豊かな公園:セントラルパーク、水がテーマの:アクアシアター、アミューズメント施設:ボードウォーク、船上サーフィン、プール、アイススケート場、ミニゴルフ場 などの設備が備わっているそうです。
ついでに紹介しますが、世界10位にランクされているのが、日本でもお馴染みの【ダイヤモンド・プリンセス】です。
(2020年、新型コロナが発生したことで一躍有名になってしまいました)
11万6千トンで、これでも飛鳥Ⅱの2倍以上の大きさです。
総トン数を基準に、各クルーズ船を並べてみました。
(全長で比較すると、かなり順位が入れ替わります)
これをみると、世界には大きなクルーズ船がたくさんあるのがわかります。
乗客の側からみると、大きければいいというわけではありませんが、船を大きくして定員を増やすことで、量産効果を生み、それにより一人当たりのクルーズ費用を安く抑えることができます。
その結果、より多くの人がクルーズに参加できるようになれば、乗客側も恩恵にあずかることになります。全体としてクルーズ人口が増え、ビジネスとして拡大していくことで好循環が期待できます。
日本の場合、ドル箱の首都圏発着のクルーズとなると横浜港に接岸するのが一般的です。しかしあまりに大きな船は海面上の船体の高さと海面下の深さがネックになり、接岸できません。横浜ベイブリッジの高さ等が影響しています。
大きくて有名な外国船の接岸により、東京観光にもいい影響を与えると思うのですが・・・
それに対し、鹿児島市のマリンポートは新岸壁が完成し、22万トン級と、16万トン級クルーズ船の同時寄港が可能になりました。観光客誘致が期待されています。
これはまさに世界最大のクルーズ船オアシス・オブ・ザ・シーズ と、人気のディズニー・ドリームが同時に接岸できるサイズです。
前にも書いたように、船だけが大きくなっても、港や港湾がそれに対応できなければなりません。観光客を呼び込みたいところは、大きな船が接岸できる港を整備する動きがこれからどんどん活発になると考えられます。